SPAIN(スペイン)

ビルバオ|ビルバオを世界的な観光地へ様変わりさせたグッゲンハイム美術館

2025年2月中旬、スペイン北部バスク地方にあるビルバオを訪れました。目的は、ビルバオ観光とサンセバスチャン観光です。宿泊はビルバオにし、バスで移動する手段でたっぷりと満喫してきました。冬の終わりを告げる穏やかな陽射しの中、この街が持つ独特な魅力に心を奪われた5日間の記録をお届けします。

建築の詩人、フランク・ゲイリーが描いた夢

グッゲンハイム美術館(ビルバオ) この名前を聞いただけで胸が躍ります。1997年の開館以来、現代建築の象徴として世界中から注目を集め続けているこの美術館は、まさに「建築と現代アート好きの聖地」でした。

朝一番に美術館へ向かい、ネルビオン川沿いに現れたその姿を初めて目にした瞬間のことは、きっと一生忘れないでしょう。フランク・ゲイリーが設計したチタンの外壁が朝陽を受けて輝く様は、まるで巨大な彫刻作品のよう。曲線を描く建物の表面は光の角度によって表情を変え、見る者を魅了し続けます。

建物の周りをゆっくりと歩きながら、この建築がいかに革新的であるかを実感しました。従来の美術館建築の概念を打ち破り、建物そのものがアート作品となっている ー そんなゲイリーの野心的なビジョンが、隅々まで息づいているのです。そして、人々を魅了し続ける圧倒的なエネルギーを感じることができました。

内部に足を踏み入れると、天井高50メートルの高さを誇るアトリウムが迎えてくれました。自然光が差し込むこの空間は、「フラワー」とよばれる、印象的な空間。ここにいるだけで、芸術と建築が融合した特別な体験が始まることを予感させてくれます。

リチャード・セラの巨大な迷宮

展示ホール「フィッシュ」にある、美術館の目玉の一つ、リチャード・セラの巨大なインスタレーションには圧倒されました。「The Matter of Time」と名付けられたこの作品群は、高さ4メートルを超える鋼鉄製の曲面で構成された迷宮のような空間です。

セラの作品の中を歩くのは、まるで彫刻の内部を探検しているような感覚。鋼鉄の壁面が作り出す曲線は、歩くたびに新しい視点を提供し、空間の感覚を変化させます。最初は圧迫感を感じていたのに、歩き続けるうちに解放感へと変わっていく ー この不思議な体験は、セラの芸術哲学を身体で理解することでもありました。

特に印象的だったのは、「Snake」という螺旋状の作品。内部を歩きながら、重力と空間の関係性について深く考えさせられました。工業的な素材である鋼鉄が、これほどまでに感情的で詩的な体験を生み出すことができるとは驚きでした。

写真の撮影も可能なので、ぜひビルバオ観光の思い出に素敵な写真を撮影してみてください。

期間限定展示:現代アートの最前線

2025年2月の訪問時期に合わせて開催されていた期間限定展示「Futures Past: Contemporary Art in Dialogue」は、まさに現代アートの最前線を体験できる素晴らしい企画でした。

デジタルアートとトラディショナルな絵画技法を融合させた作品群は、アートの未来を予感させるものばかり。特に印象に残ったのは、草間彌生の参加作品で、和紙とLEDを組み合わせた幻想的なインスタレーションでした。伝統と革新が美しく調和した作品に、日本人として誇らしい気持ちになりました。

VRを使った体験型アート作品では、バーチャル空間の中でビルバオの街を別の角度から見つめ直すという興味深い体験ができました。現実と仮想の境界線が曖昧になる中で、「場所」や「記憶」について新しい視点を得ることができたのです。

2月のビルバオは完璧な訪問時期

2月のビルバオは観光客も少なく、美術館をゆっくりと鑑賞するには最適な時期でした。気温は10〜15度程度で、歩き回るには快適。時折降る小雨も、石畳に反射する街灯の光を美しく演出してくれました。

美術館のカフェで飲んだピンチョスとバスク地方のワインは、芸術鑑賞の疲れを癒してくれる最高のひとときでした。窓から見えるネルビオン川の景色を眺めながら、この日体験したアートの数々を反芻する時間は、旅の醍醐味そのものでした。

ビルバオのグッゲンハイム美術館での体験は、単なる美術館鑑賞を超えた、人生に残る体験となりました。建築、彫刻、現代アート ー それぞれが独立しながらも調和し、訪れる人に新しい視点を提供してくれます。またグッゲンハイム美術館の良いところは私たちの身近に存在するものがアートとなっているため堅苦しくなく自由な発想で私たちがそれぞれの感性でメッセージを受け取ればいいということ。

フランク・ゲイリーが30年近く前に描いた未来的なビジョンが、今なお色褪せることなく私たちを感動させ続けていることに深い感銘を受けました。そして、リチャード・セラの重厚な鋼鉄の世界が教えてくれた「空間と身体の対話」は、きっと今後の人生の様々な場面で思い出すと思います。

次回ビルバオを訪れる時もまた必ずグッゲンハイムにも再び足を運ぶでしょう。なぜなら、真の芸術作品は何度体験しても新しい発見があるからです。世界に数多ある美術館の中でも、最上級の美術館だと感じました。現代アート好きなら迷わず訪れるべき場所としてオススメしたい美術館でした。

ビルバオ・グッゲンハイム美術館
住所:Abandoibarra Etorb., 2, 48009 Bilbo, Bizkaia, スペイン
開館時間:10:00-19:00(月曜休館)
料金:一般 16ユーロ
公式サイト:guggenheim-bilbao.eus

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